こんにちは。
目次
4/8。年度が明けて心機一転の気持ちで大学生活に励もうと意気込んだ矢先の訃報。
ボカロP兼ヒトリエのギター&ボーカルのwowaka氏が亡くなられました。
先ず、wowakaさんのご冥福を心よりお祈り申し上げます。
これを機に記事にするという訳では無いのですが、皆様にwowakaさんの素晴らしさ、wowakaさんの作った音楽の素晴らしさを知って頂きたく、僭越ながら一つ記事を書かせてください。
wowakaというボカロP
wowakaさんは先日まふまふさんの記事でも挙げたように、ニコニコ動画から動画投稿をはじめ、活動の末メジャーデビューを果たした実力派アーティスト。昔は現実逃避Pという名前でも活動していました。
代表曲は
「ローリンガール」
「裏表ラバーズ」
などなど。
特にローリンガールはボカロ好きなら知らない人はいないんじゃないかってくらい有名な伝説的な作品です。
普段ボカロを全く聞かない人でも知ってるんじゃないかな?
2009年ごろよりボカロ曲を投稿しており、投稿開始数曲で「とおせんぼ」「裏表ラバーズ」などの独特の調教、特徴のあるテンポ感や高音が印象的な楽曲が殿堂入りを果たし、一躍人気のボカロPとなりました。
また、楽曲の歌詞もかなり印象的で、上で挙げた「裏表ラバーズ」では、
もうラブラブになっちゃってー
横隔膜突っ張っちゃってー
強烈な味にぶっ飛んでー
等身大の裏・表
という歌詞とともにバナナや受精を直喩するイラストがPVに挿入されており、かなり際どい印象を受けます。
僕が初めてこの曲を聴いた時は小学五年生くらいだったので、もう興味津々でした。
痛いんで、触って、喘いで、天にも昇れる気になって、
絶対チョメチョメのことだ!!!絶対そうだ!!!やべーこの曲!!!やべー!!
みたいな、ね。大人になって聞いてみても癖になるサウンドとボカロでしか表せない音程の複雑な入り組み方がリピートを誘発しますね。
「ワールズエンド・ダンスホール」 では
ホップ・ステップで踊ろうか
世界の隅っこでワン・ツー
ちょっとクラっとしそうになる
終末感を楽しんで
パッとフラっと消えちゃいそな
次の瞬間を残そうか
くるくる くるくるり
廻る世界に酔う
サビのフレーズですが、韻を踏んでいてすごく耳に残る。間奏も同じフレーズを繰り返す演奏が続き、メロディが非常に覚えやすいです。
ボカロらしいデジタルな良さが伝わってきます。
僕の一番好きな曲、「アンノウン・マザーグース」では、wowakaさんのボカロPとしての"歌"への想いが乗せられていると感じます。
wowaka『アンノウン・マザーグース』feat. 初音ミク - ニコニコ動画
あたしが愛を語るのなら その眼には如何どう、映像る?
詞は有り余るばかり 無垢の音が流れてく
あなたが愛に塗れるまで その色は幻だ
ひとりぼっち、音に呑まれれば 全世界共通の快楽さ
全世界共通の快楽。もっともな考え方です。音楽を作る創作者として、音楽は世界中のどんな人でも楽しめる、共通の快楽であることを伝えたかったのでしょうか。
ねえ、あいをさけぶのなら
あたしはここにいるよ
ことばがありあまれどなお、
このゆめはつづいてく
あたしがあいをかたるのなら
そのすべてはこのうただ
だれもしらないこのものがたり
またくちずさんでしまったみたいだ
マザーグースというのは、イギリスの伝承童話の総称のことのようで、その総数は幾千と存在するそうです。
「あたし」が語る愛の歌、それが誰も知らない歌、アンノウンマザーグース(unknown Mother Goose)だとしても構わない。世界に拒まれ続けても歌いたいと言ってくれる「あなた」がいるのなら一一一
的な??
かっこいいですね、とても。
この曲はテンポが何度も代わり、1曲の中で何曲にも分かれているかのような緩急が特徴です。
歌声で感情を伝えられないVOCALOIDだからこその表現が絶妙です。
この曲を歌ってくれた歌い手さんを見て、wowakaさんはさぞ嬉しかったでしょうね。
ヒトリエとしてのwowaka
wowakaさんは2011年5月に「アンハッピーリフレイン」を投稿してからしばらく動画投稿を休止し、そして2012年に「ヒトリエ」というバンドとしての活動を始めます。
ギターボーカルのwowakaさんを始めとする、シノダさん(Gt.Co.)イガラシさん(Ba.)ゆーまおさん(Dr.)の4人組ロックバンドです。
イガラシさん、ゆーまおさんは共にニコニコ動画内の動画に演奏で参加していた経験もあり、インターネット出身のアーティスト達で構成されたバンドとも言えます。
もともと有名であったため2012年の冬のコミックマーケットで発売された自主制作アルバム「ルームシック・ガールズエスケープ」も好評で話題を呼び、2013年末に晴れてメジャーデビューを果たします。
演奏自体はボカロP時代からの色を大きく残しつつ、自身がボーカルを務めることでこれまでにできなかったであろう感情表現が為されています。
聞いたことないような不思議なサウンドとサブカル色の強い味のあるボーカルが上手く調和して、非常にwowakaさんらしいバンドサウンドになっています。
ツアーやライブを敢行し徐々にボカロ界隈外からの人気も得てきた2017年の10月、ヒトリエとして初めてwowaka名義制作されたで「アンノウン・マザーグース」をカバーします。
この曲は同年8月、6年ぶりにwowakaさんが初音ミクを用いて制作された楽曲。自身がボーカルとしての実力もつけてきた時にこの曲を作り、カバーしたことは集大成であると言えます。
そして勿論、他の歌い手さんが歌えるようにインストの公開もされました。
音楽に対して人一倍強いこだわり、いや愛情があったのでしょう。ひしひしと伝わってきます。
最後に
長くなってしまいましたがこれで少しでも知らない人にwowakaさんの素晴らしさが伝わったでしょうか。毎度ながら拙い文章で誠に申し訳ないです。今すぐ文豪に生まれ変わってwowakaとは何たるかを懇ろに綴りたいものです。
今回の訃報については、一リスナーとして非常に残念です。これ以上wowakaさんの作る音楽に触れることが出来ないなんて。
でも、現時点でwowakaさんが作られたたくさんの楽曲は残っています。ヒトリエの楽曲も、VOCALOIDの楽曲も。
wowakaさんが旅立たれても、wowakaさんが遺した数々の音楽は確かに、愛され続けられます。
こんなことを言うのは不謹慎かもしれませんが、良かったです。彼がたくさんの音楽を遺してくれて。
僕は1人の聴衆としてこれからもwowakaさんを、wowakaさんの作った音楽を愛していきます。皆さんも、是非。
では。